![]() 脳組織における物質の吸収および分布の決定および推定
专利摘要:
本発明は、脳組織への物質の吸収および分配、ならびに、それから誘導されるパラメータ、例えば、血液−脳関門を通過する物質の透過度、また、より詳細には、脳内で自由に利用可能な物質の比率を決定または推定するための方法を示す。この方法において、水相と脂質相との間の対応する物質の分配係数は、好ましくは試験キットの中に含まれ担体物質として固体の上に固定される脂質膜の介在によって、決定される。この分配係数は続いて、血液−脳の分配係数を決定するためのQSARモデルにおけるパラメータとして使用できる。 公开号:JP2011512518A 申请号:JP2010543443 申请日:2009-01-26 公开日:2011-04-21 发明作者:ヨハネス シュミット;ヒンネルク ボリス 申请人:ソヴィセル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング; IPC主号:G01N33-15
专利说明:
[0001] 本発明は、主に、脳組織への物質の吸収および分配、ならびに、それから誘導されるパラメータ、例えば、血液−脳関門を通過する物質の透過度、また、より詳細には、脳内で自由に利用可能な物質の比率を決定または推定するための方法に関する。好ましくは、一方では血液または血漿、他方では脳、の間の対応する物質の、対数化分配または分布係数が提供される。] 背景技術 [0002] CNS活性物質の開発においては、脳組織における各種物質の吸収行動を初期段階で認識し、推定することは必須であり、現在、集中的に研究開発されている分野となっている。一方、作用部位が脳組織ではない物質に関しても、脳貫通の可能性(この場合、有害であることが多い)を初期段階で認識することは、物質特性の最適化において決定的重要性を持つ可能性がある。血漿−脳分配を推定するためには、種々の細胞使用によるアプローチがあるが、これらは多くの場合、一次細胞培養、または、特別に修飾された細胞系統を利用するものであり、したがって、かなり高価で、使い勝手が悪いが、そのような方法の外に、特に、インシリコ法(「コンピュータ上で実施される」)が用いられる。この方法の眼目は、物質の特性の予測が、物質の合成前に実行可能であることである。しかしながら、これらのアプローチは、多くの場合、予測精度(予測の正確度)がかなり低いという悩みを抱える。] [0003] 血液−脳関門の透過度または活性を決定または推定するために、血液−脳分配係数logBBがよく使用される。これは、脳組織、および血液または血漿における、物質濃度の対数比である。したがって、下式:] [0004] が適用される。] [0005] 血液−脳関門の透過度は、インビボで動物モデルにおける薬物動態学的測定(これは同様に血液−脳分配係数も提供するが)によって、または、インビトロで一次細胞培養体を用いること(総覧が、U. Bickel, NeuroRx 2 (2005), 15-26に見出される)によって決定される。もう一つのアプローチは、インシリコ法の利用であり、コンピュータプログラムの助けを借りて分子パラメータからlogBBが推定される(「インシリコ」)。(U. Norinder, M. Haeberlein, Advanced Drug Delivery Reviews 543 (2002), 291-313を参照)。] [0006] インビボ法は、一般に、相当に高価で、使いにくく、多数の物質の定量には適切ではない。したがって、血液−脳関門透過度を推定する、定まった方法論は、分子パラメータに基づく純粋なインシリコモデルを利用する。これらの方法は、比較的高速で、コスト効率がよいが、多くの場合、血液と脳の間の分配に関して不十分な記述しか与えない。] [0007] 一般に、血液−脳分配係数logBBをインシリコで推定するには、QSAR(定量的構造活性相関)モデルを利用する。これは、下記の一般形の関係式における、対応物質の分子パラメータの計算値または指定値の寄与を相関させるものである。] [0008] ] [0009] 上式において、aiは、分子パラメータPiの係数であり、多重線形回帰によって得られる。よく使用されるパラメータは、本発明においても計算されるオクタノール−水分配係数、極表面積PSA、分子体積Vm、および分子量MW、および、いくつかの、またはすべてのパラメータの組み合わせである。さらに別のアプローチは、Abrahamディスクリプタを利用する(例えば、J.A. Platts, M.H. Abraham, Y.H. Zhao, A. Hersey, L. Ijaz, D. Butina Eur. J. Med. Chem. 36 (2001), 719-730)。しかしながら、すべてのアプローチに共通するのは、上記分子パラメータに基づくこと、また、物質の、血液成分に対する親和性を明示的に考慮していないことである。] [0010] しかしながら、脳における、ある物質のアベイラビリティーは、その物質のどれぐらいの量が関門を通過して脳の中に入ったのかだけではく、その物質のどのぐらいの比率が、脳中で自由に利用可能であるかにも依存する。この比率は、その物質のどのぐらいの量が、タンパク質および脂質と非特異的に結合するかに少なからず依存する。しかしながら、脳における遊離分画の推定は、今日までのところ、インビボによるか、または、脳抽出物に対する、高価で、勝手の悪いインビトロ透析法によってしか可能ではない。] 発明が解決しようとする課題 [0011] したがって、本発明の目的は、脳組織における物質の吸収および分配を決定または推定するための改良法、より詳細には、血液−脳分配係数logBB、および、血液−脳関門を通過する物質の透過度を決定または推定するための改良法を提供することである。この方法は、物質パラメータおよび分子パラメータの考察に関してきわめて高度の融通性を許容し、さらに、対応物質の、血液または血漿に対する結合をも考察の対象とすることを可能にする。最後に、この方法の最重要工程を、できるだけ簡単に、例えば、試験キットの助けを借りて通例的に実施することを可能とする。] 課題を解決するための手段 [0012] この目的は、請求項1の特徴を持つ方法によって達成される。この方法の好ましい実施態様は、従属請求項2から10に概説される。さらに、本発明は、請求項11に記載される固体、請求項12に記載される懸濁液、および請求項13に記載されるキットを含む。ここに参照することにより、全ての特許請求項の用語法は本明細書の内容の一部とされる。] [0013] 既述のように、本発明による方法は、脳組織に進入する物質の吸収および分配を決定または推定するための方法である。この方法は、より詳細には、血液−脳関門を通過する物質の透過度を決定または推定するための方法として、さらにより詳細には、脳において遊離状態で利用可能な物質の比率を決定または推定するための方法としても役立つ可能性がある。一般に、これらの方法に共通して、好ましい実施態様では、対応する情報は、一方では血液または血漿、他方では脳、の間の物質の、好ましくは対数化された分配係数の形で提供される。脳において自由に利用することが可能な物質の比率を決定または推定するに際し、この情報はさらに、脳中に局在する該物質の全体量のパーセントとして提供することも可能である。] [0014] 本発明においては先ず、脂質膜の介在によって、さらに詳細には、担体物質として固体の上に固定される脂質二重層の介在によって、水相と脂質相(固定される脂質膜)との間の対応する物質の分配係数logMAbrainが決定される(この分配係数は、膜親和度と言うことも可能である)。この脂質膜または脂質二重層は、後に詳述するように、試験キットの中に含まれることが好ましい。] [0015] このようにして得られる分配係数logMAbrain(または、このようにして得られる膜親和度)は、本発明の方法の比較的好ましい実施態様において、血液−脳分配係数の決定を意図するQSAR(QSAR は定量的構造活性相関(quantitative structure-binding relationship)を表す)モデルにおけるパラメータとして使用することが可能である。] [0016] 脳において自由に利用が可能な、物質の比率(fubrain)を決定または推定する場合、この比率は、得られる分配係数logMAbrain(膜親和度)から、ほぼ直接得ることさえ可能である。このために、好ましい実施態様では、例えば、式"fubrain = 10exp(A*logMAbrain + E)"にしたがって直線回帰を実行することが可能であり、このとき、分配係数logMAbrainのために得られる数値を使用することが可能である。] [0017] この場合、「水相」とは、溶媒または分散剤として、圧倒的に水と作用する相を意味するものと理解しなければならない。このことは一般に、対応する相には、有機溶媒または有機分散剤は、ごく僅かな比率しか存在しないということを意味する。対応する水相は一般に緩衝される、すなわち、ある特定pHに調整される。] [0018] 脂質膜または脂質二重層の脂質は、基本的に、きわめて広範囲の脂質または脂質混合物由来のものであってよい。したがって、本発明にしたがって、純粋にフォスファチジルコリン(PC)から成る膜を使用してもよい。同様に、20%比率の、陰性に荷電されるフォスファチジルセリン(PS)を有するフォスファチジルコリン(PC)から成る膜を使用してもよい。その場合、この20%比率は、脳組織におけるPSの濃度に相当している。] [0019] しかしながら、本発明によれば、この脂質膜の脂質は、少なくとも一つの脳組織脂質、または、そのような脳組織脂質の混合物であることが好ましい。ひいては、対応する脂質膜または脂質二重層のために、脳組織からの脂質抽出物が提供されることが好ましい。] [0020] 上述のように、本発明の理念において決定される、水相および脂質相の間の、対応する物質の分配係数(または、膜親和度)は、血液−脳分配係数のためのQSARモデルにおけるパラメータとして使用することが可能である。この場合、本発明によれば、この(実験的に)決定されるパラメータに加えて、さらに実験的に決定することが可能な別のパラメータが、このQSARモデルにおいて使用されると有利である。] [0021] そのようなパラメータに関連して、もう一つのパラメータは、例えば、物質パラメータの分子体積(Vmol)であってもよく、これは、対応する物質について、比較的簡単な計算によって得ることが可能である。さらに好ましい、もう一つのパラメータは、分子量(MW)という物質パラメータで、これは、一般に、物質の組成から簡単に計算することが可能である。] [0022] QSARモデルにおいて考慮の対象とされる、もう一つの、比較的簡単に得られる物質パラメータは、「極表面積」(PSA)の数値である。これも、同様に簡単に計算することが可能である(P. Ertl, B. Rhode, P. Selzer J. Med. Chem. 43 (2000) 3714-3717)。] [0023] 最後に、本発明によれば、血液または血漿への対応する物質の結合に関する、もう一つのパラメータが特に重要である。したがって、前述の物質パラメータ(分子パラメータ)に加えて、さらに、物質の、血液に対する親和度が考慮の対象とされる。当然のことながら、この親和度は、この物質が、血液から、血液−脳関門を通過して脳に進入する横断行において重要な役割を果たす。] [0024] 血液または血漿への対応する物質の結合は、本発明によれば、好ましくは、血液/血漿における本物質の遊離分画に対する血液/血漿における本物質の結合分画の対数比として理解される。] [0025] 一般に、血液/血漿への対応する物質の結合は、該物質の、一つ以上の血液/血漿タンパクに対する結合に基づいて定量、および考察することが可能である。本発明の本明細書では、好ましくは、血漿タンパクHSA(ヒト血清アルブミン)および/またはAGP(α1-酸性糖タンパク)が考慮の対象とされる。さらに好ましい実施態様では、ヒトまたは動物の全血漿に対する物質の結合が、本発明において考慮の対象とされる。] [0026] 最後に挙げたパラメータ、すなわち、一つ以上の血液/血漿タンパクに対する物質の結合、さらに、ヒトまたは動物の全血漿に対する物質の結合は、さらに詳細には、実験的に簡単に定量することが可能であり、それは、例えば、作業実施例5および6(下記参照)に具体的に示されている。] [0027] これまでの所見から明白なように、本発明による方法では、水相および脂質相の間の物質の、(実験的に)定められる分配係数に加えて、上述の好ましいパラメータ(MW、PSA、血液における該物質の結合)の内の少なくとも一つ、好ましくは、これらのパラメータの三つ全てを考慮に入れると有利である。] [0028] したがって、本発明のより好ましい実施態様では、血液−脳、または、血漿−脳分配係数の対応QSARモデルは、下式によって表される。] [0029] ] [0030] これらの対応項およびパラメータは下記のように説明される。] [0031] logBB:対数で表した、血液−脳分配係数 logMAbrain:水相および脂質相の間の、対応する物質の、対数化分配係数 PSA:極表面積 MW:分子量 logKB/F:血液/血漿における、対応する物質の結合分画(B)の、遊離(F)分画に対する、対数比。] [0032] 前述のQSAR関係式において、さらに別の分子パラメータまたは分子特性を使用することが可能であることは、当業者には公知である。] [0033] 同様に、脳において自由に利用が可能な物質の比率を決定または推定する場合も、実験的に取得が可能なパラメータlogMAbrainに加えて、他のパラメータ、例えば、logKB/F、または、計算(MW,PSA等)で求めることが可能な、前述のパラメータも使用することが好ましい場合がある。これらのパラメータは、例えば、前述の式"fubrain = 10exp(A*logMAbrain + E)"にしたがって線形回帰を実行する際、例えば、干渉因子として考慮に入れることが可能である。したがって、脳における自由に利用可能な物質の比率の決定における、本発明の方法の好ましい実施態様では、対応する物質の分子量、および/または、対応する物質のPSA(極表面積)、および/または、血液または血漿に対する、対応する物質の結合を、干渉または補正因子として考慮しなければならない。その際、後者については、血液または血漿に対する対応する物質の結合は、より好ましくは、血漿タンパクHAS(ヒト血清アルブミン)および/またはAGP(α1-酸性糖タンパク)に対する該物質の結合によって、および/または、ヒトまたは動物の全血漿に対する該物質の結合によって表される。] [0034] 本発明はさらに、固体、より詳細には、粒子状で存在する固体を含む。その際、脂質膜または脂質二重層は、この固体の内面および外面の少なくとも一部の上に固定される。本発明によれば、この固体の特色は、脂質膜または脂質二重層の脂質の、少なくともいくつか、しかし好ましくは全てが、脳組織脂質、例えば、動物、またはヒトの脳組織に見られる脂質であることである。上述の脳組織脂質は、好ましくは、脳組織抽出物由来のものである。対応する脂質および抽出物は、当業者には公知であり、各種企業から購入することが可能である。] [0035] 本発明による固体はさらに、脂質膜または脂質二重層が、担体物質としての実際の固体の上に塗布され、そこに固定されると記載することも可能である。このように修飾され、塗布される固体の生産は、当業者には公知であり、例えば、本出願者の先行特許DE-A1-100 48 822において詳細に記載される。] [0036] 本発明による固体は、水溶液において不溶であることを強調しなければならない。固体は、有機材料でも、場合によっては無機の材料から製造されてもよく、後者の場合は、より詳細には、ケイ酸塩、アルミン酸塩、ホウ酸塩、またはゼオライトであってもよい。金属および貴金属を使用することも可能である。] [0037] より詳細には、本発明による固体は、粒子状で存在する。この形状では、固体の表面積は相当に増加する。固体、より詳細には、粒子は、無孔性であってもよいが、好ましくは多孔性であり、この場合も同様に、表面積のさらなる拡大と連結する。] [0038] その結果、本発明による好ましい固体または粒子は、その上に脳の組織脂質由来の脂質膜または脂質二重層が固定され、ビーズ状で存在する。] [0039] 本発明はさらに、脳の組織脂質由来の脂質膜または脂質二重層を有する、本発明による前述の固体、または本発明による粒子を含む懸濁液、好ましくは水性懸濁液を含む。] [0040] 固体、または、懸濁液の形状を取る粒子を提供することは、その使用を、より詳細には、冒頭に述べた本発明による方法におけるその使用を促進する。] [0041] 最後に、本発明は、水相および脂質相の間の物質の分配係数(または、他の言い方では膜親和度)を決定するためのキットを含む。その際、このようにして得られる分配係数は、脳組織へ進入する物質の吸収および分配を、より詳細には、本発明の方法の背景において、決定または推定することを意図することが好ましい。このキットは、本発明によれば、本発明による固体、または、本発明による粒子、および/または、本発明による懸濁液を含む。] [0042] したがって、本発明によるこのキットでは、脳組織脂質を塗布された粒子(ビーズ)は、水性溶媒における懸濁液として提供することが可能である。この水系は、一般に、バッファー系、例えば、PBS(リン酸バッファー生理的食塩水、すなわち、155 mM NaClを含む、10 mMリン酸バッファー、pH7.4)である。この懸濁液は、マイクロタイタープレートのウェルの中に既に存在してもよいし、適切であれば、必要な濃度において配分されていてもよい。このようにして調製されるマイクロタイタープレートは、凍結状態で存在していてもよく、その場合、その状態で輸送、保存することが可能である。次に、これらのプレートは、このようにして取得されるキットの使用の直前に解凍される。] [0043] 次いで、このキットを用いて、水相(バッファー)と脂質相(ビーズ)の間の調査対象物質の分配係数が、本発明の方法に関連して記載されるように、実験的に決定される。その際、必要に応じて、完全自動化装置を使用することが可能である。] [0044] 本発明の前述の特色、およびさらに別の特色は、従属請求項と組み合わせた、好ましい実施態様に関する下記の説明から得られる。本発明においては、各種特色は、それぞれ単独で、または、互いに組み合わせて実現することが可能である。] [0045] 1. 適切な担体材料を準備すること。] [0046] 多孔性の粒子状ケイ酸塩材料(Nucleoprep 4000-12、Macherey-Nagel、ドイツから購入)5 gを、100 mLの脱イオン水中の1.05 mLのN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(EDA)および濃酢酸27 μLのから成るシラン溶液に加え、ゆっくりと3時間攪拌する。その後、このケイ酸塩材料を沈降させ、脱イオン水で3回洗浄し、80℃で乾燥する。] [0047] 次いで、このようにして生成される材料5 gを、50 mLのエタノール中のエポキシプロパノール5 gの溶液に加え、一晩(16時間)攪拌する。その後、この材料を沈降させ、エタノールで3回洗浄、脱イオン水で3回洗浄し、80℃で乾燥する。] [0048] 2. 固定脂質膜を有する輸送材料を(懸濁液として)製造すること。] [0049] 440 mgの脳脂質抽出物(Avanti Polar LipidsInc.,米国)を、50 mLのクロロホルムに溶解する。この溶液を回転するロータリーエバポレータ中のガラスフラスコにおいて減圧留去する。それによって、薄い液体フィルムが壁に沈着する。] [0050] この脂質フィルムを水蒸気雰囲気中で一晩膨潤させ、次いで、88 mLのバッファー(20 mMHEPES, pH7.0, 30 mM NaCl, 2 mM CaCl2)を加え、この脂質フィルムを、高圧ホモジェナイザーによって顆粒とする。] [0051] 上に得られる担体材料5 gを、このようにして生成される顆粒液に加え、一晩インキュベートする。過剰な脂質は、バッファー(20 mMHEPES, pH7.0, 30 mM NaCl, 2 mM CaCl2)で3回洗浄することによって除去する。最後に、この後、PBS(リン酸バッファー生理的食塩水、10 mMリン酸ナトリウム、0.9% NaCl, pH7.4)によるバッファー再添加を行い、バッファーで25 mLまで満たす。次に、後述するように、得られたこの懸濁液を用いて脳脂質−水分配係数を決定する。] [0052] 3.トリフルオペラジンの、脳脂質−水分配係数logMAbrainを決定すること。] [0053] 脳脂質−水分配係数を決定するために、96-ウェルマイクロタイタープレートの、合計5ウェルを下記のように満たす:] [0054] ウェル1:405 μLPBS ウェル2:375 μL PBS + 30 μL懸濁液(項目2参照) ウェル3:357 μL PBS + 48 μL懸濁液(項目2参照) ウェル4:338 μL PBS + 77 μL懸濁液(項目2参照) ウェル5:405 μL PBS] [0055] これらのウェルそれぞれに対し、PBS/10%DMSO中の、トリフルオペラジンの500 μM溶液45 μLを加え、再縣濁による混合後、沈降によって固体を上清から分離する。上清における物質の濃度は、UV測定によって定量し、脳脂質−水分配係数logMAbrainは、下式を用いて計算する。] [0056] ] [0057] 上式において: Vtotal:ウェル当たりの全体容量 Vlipid:ウェル当たりの脂質容量 ctotal:結合パートナーが無い場合の、ウェル1および5の物質濃度 cwater:結合パートナーを含む、ウェル2-4の上清における物質濃度、 である。] [0058] logMAbrain = 4.7という、脳脂質−水分配係数が得られる。] [0059] 4. さらに別の物質について、脳脂質−水分配係数logMAbrainを決定すること。] [0060] 脳脂質−水分配係数を決定するために、2枚の96-ウェルマイクロタイタープレートを、列ごとに下記のように満たす:] [0061] 1列:405 μLPBS 2列:375 μL PBS + 30 μL懸濁液(項目2参照) 3列:357 μL PBS + 48 μL懸濁液(項目2参照) 4列:338 μL PBS + 77 μL懸濁液(項目2参照) 5列:285 μL PBS + 120 μL懸濁液(項目2参照) 6列:210 μL PBS + 195 μL懸濁液(項目2参照) 7列:105 μL PBS + 300 μL懸濁液(項目2参照) 8列:405 μL PBS。] [0062] このようにプレートを満たすことによって、広範な結合範囲がカバーされる。これらのあらかじめ満たされた各プレートに対し、PBS/10%DMSO中の下記の物質それぞれの500 μM溶液45 μLを、列ごとに加える、その物質とは:アセチルサリチル酸、クロルプロマジン、インドメタシン、サリチル酸、ベラパミル、フェニルブタゾン、シメチジン、プロマジン、プロプラノロール、クロニジン、アテノロール、カフェイン、デシプラミン、イブプロフェン、イミプラミン、キニジン、テオフィリン、トリフルオペラジン、およびアンチピリンである。再縣濁による混合後、沈降によって固体を上清から分離する。] [0063] 上清における物質の濃度は、HPLCによって定量し、脳脂質−水分配係数logMAbrainは、前述の式(4)によって計算する。ただし、この場合、Vtotalは、ウェル当たりの全体容量であり、Vlipidは、ウェル当たりの脂質容量であり、ctotalは、結合パートナーが無い場合の、列1および8の物質濃度であり、cwaterは、結合パートナーを含む、ウェル2-7の上清における物質濃度である。] [0064] 表1は、測定結果を示す:] [0065] ] [0066] 表1:得られた脳脂質−水分配係数] [0067] 5.HAS結合定数KdHSAを求めること。] [0068] あらかじめ満たされたHSA結合プレート(TRANSIL(登録商標)HAS結合キット、NIMBUS、ドイツ)のそれぞれに、PBS/10%DMSOに溶解した、下記の物質の内の一つの500 μM溶液45 μLを列ごとに加える、その物質とは:アセチルサリチル酸、クロルプロマジン、インドメタシン、サリチル酸、ベラパミル、フェニルブタゾン、シメチジン、プロマジン、プロプラノロール、クロニジン、アテノロール、カフェイン、デシプラミン、イブプロフェン、イミプラミン、キニジン、テオフィリン、トリフルオペラジン、およびアンチピリンである。再縣濁による混合後、沈降によって固体を上清から分離する。上清における物質の濃度は、HPLCによって定量し、解離定数KdHSAは、下式によって計算する。] [0069] ] [0070] 上式において: [drug]bound:結合物質の濃度 [drug]free:上清における遊離物質の濃度 [protein]:各ウェルにおけるタンパク濃度 である。] [0071] 下記の数値が得られる:] [0072] ] [0073] 表2:得られたKDHSA値である。] [0074] 6. AGP結合定数KdAGPを求めること。] [0075] あらかじめ満たされたAGP結合プレート(TRANSIL(登録商標) AGP結合キット、NIMBUS、ドイツ)のそれぞれに、PBS/10%DMSOに溶解した、下記の物質の内の一つの50 μM溶液45 μLを列ごとに加える、その物質とは:アセチルサリチル酸、クロルプロマジン、インドメタシン、サリチル酸、ベラパミル、フェニルブタゾン、シメチジン、プロマジン、プロプラノロール、クロニジン、アテノロール、カフェイン、デシプラミン、イブプロフェン、イミプラミン、キニジン、テオフィリン、トリフルオペラジン、およびアンチピリンである。再縣濁による混合後、沈降によって固体を上清から分離する。上清における物質の濃度は、HPLCによって定量し、解離定数KdAGPは、既述の方程式(5) によって計算する。] [0076] ] [0077] 上式において: [drug]bound:結合物質の濃度 [drug]free:上清における遊離物質の濃度 [protein]:各ウェルにおけるタンパク濃度 である。] [0078] 下記の数値が得られる:] [0079] ] [0080] 表3:得られたKDAGP値である。] [0081] 7.血漿−脳分配係数logBBの、logMAbrain、PSA(極表面積)、分子量MW、およびlogKB/Fとの多重線形相関によってQSARを求めること。] [0082] 血漿−脳分配係数を推定するために、下式にしたがって多重線形回帰を実行した。] [0083] ] [0084] logKB/F値は、血漿における、結合分画の、遊離分画に対する対数比を表し、これは、従来から、下式にしたがって、解離定数KDAGPおよびKDHSAから近似的に計算されている。] [0085] ] [0086] ] [0087] :血漿における遊離物質の濃度 :血漿における物質の全体濃度 :血漿におけるHSA濃度、588.2 μM :血漿におけるAGP濃度、24.4 μM :物質−HSA複合体の解離定数 :物質−AGP複合体の解離定数、である。] [0088] 使用されるパラメータを表4にまとめる。] [0089] ] [0090] 表4:LFERを求めるためのパラメータセットである。] [0091] 下記の関係式が得られる:] [0092] ] [0093] この場合、決定係数R2は0.92である。] [0094] 8. 有効性試験セットの物質について血漿−脳分配係数logBBを推定すること。] [0095] 前記項目7で得られた関係式の有効性を確かめるため、物質ラニチジン、アミトリプチリン、カルバマゼピン、リドカイン、プロカイン、ミアンセリン、ジフェンヒドラミン、フルオキセチン、トルブタミドの、logMAbrain、およびlogKB/F を、項目4-6にしたがって求め、logBB値を、文献から得られるPSA(極表面積)、および、項目7の式(9)による分子量MWによって推定した。表5は得られた結果を示す。] [0096] ] [0097] 表5:式(9)によって計算されるlogBBcalc値と、文献から得られるlogBB値との比較。] [0098] 脳における遊離分画fubrainを、膜親和度logMAbrainによって求めること。] [0099] 9. 脳における遊離分画を推定するために、式「fubrain = 10exp(A*logMAbrain + E)」 にしたがって線形回帰を実行した。] [0100] 使用されるパラメータを表5にまとめる。] [0101] ] [0102] 表6:脳における遊離分画を求めるためのパラメータセットである。] [0103] 下記の関係式が得られる。] 実施例 [0104] ]
权利要求:
請求項1 脳組織への物質の吸収および分配、ならびに、それから誘導されるパラメータ、例えば、血液−脳関門を通過する物質の透過度、また、より詳細には、脳内で自由に利用可能な物質の比率を決定または推定するための方法であって、好ましくは試験キットの中に含まれ、担体物質としての固体の上に固定される脂質膜の介在によって、水相と前記脂質相との間の対応する物質の分配係数が決定される方法。 請求項2 請求項1に記載の方法であって、物質の吸収および分配を、血液または血漿と脳との間の物質の、好ましくは対数化された分配係数を決定することにより、より詳細には、血液−脳または血漿−脳の分配係数のQSAR(定量的構造活性相関)モデルにおけるパラメータとして、固体の上に固定される脂質膜により決定される分配係数を用いることにより、決定または推定することを特徴とする方法。 請求項3 請求項1または2に記載の方法であって、前記脂質膜の脂質が脳組織脂質の少なくとも1つであり、好ましくは脳組織からの脂質抽出物が想定されることを特徴とする方法。 請求項4 請求項2または3に記載の方法であって、血液−脳または血漿−脳の分配係数のQSARモデルが、対応する物質の分子量をさらなるパラメータとして考慮の対象とすることを特徴とする方法。 請求項5 請求項2〜4のいずれかに記載の方法であって、血液−脳または血漿−脳の分配係数のQSARモデルが、対応する物質のPSA(極表面積)値をさらなるパラメータとして考慮の対象とすることを特徴とする方法。 請求項6 請求項2〜5のいずれかに記載の方法であって、血液−脳または血漿−脳の分配係数のQSARモデルが、血液または血漿への対応する物質の結合をさらなるパラメータとして、好ましくは、血液または血漿における本物質の遊離分画に対する本物質の結合分画の対数比として、考慮の対象とすることを特徴とする方法。 請求項7 請求項6に記載の方法であって、血液または血漿への対応する物質の結合が、血漿タンパクHSA(ヒト血清アルブミン)および/またはAGP(α1-酸性糖タンパク)への本物質の結合により表されることを特徴とする方法。 請求項8 請求項6に記載の方法であって、血液または血漿への対応する物質の結合が、ヒトまたは動物の全血漿に対する本物質の結合により表されることを特徴とする方法。 請求項9 請求項4〜8のいずれかに記載の方法であって、血液−脳または血漿−脳の分配係数のQSARモデルが、前述のパラメータの中の少なくとも2つ、好ましくは、前述のパラメータ4つ全てを考慮の対象とすることを特徴とする方法。 請求項10 請求項9に記載の方法であって、血液−脳または血漿−脳の分配係数のQSARモデルが、下記式で表されることを特徴とする方法。 請求項11 固体、より詳細には、粒子状で存在する固体であって、脂質膜または脂質二重層が、該固体の内面および外面の少なくとも一部の上に固定されており、脂質の、少なくともいくつか、しかし好ましくは全てが、脳組織脂質であって、前記脳組織脂質は、好ましくは、脳組織抽出物由来のものであることを特徴とする固体。 請求項12 請求項11に記載の固体または粒子を含むことを特徴とする懸濁液、好ましくは水性懸濁液。 請求項13 水相および脂質相の間の物質の分配係数を決定するためのキットであって、このようにして得られる分配係数は、より詳細には請求項1に記載の方法において、脳組織への物質の吸収および分配を決定または推定することを好ましくは意図し、このキットは、請求項11に記載の固体または粒子、および/または、請求項12に記載の懸濁液を含むことを特徴とするキット。
类似技术:
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同族专利:
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引用文献:
公开号 | 申请日 | 公开日 | 申请人 | 专利标题
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